ウミガメ君の大冒険


いつものようにラナイ島のファーストカテドラルの中に入ると、光が華麗なダンスを踊っていた。

ブダイのおじさんたちは光のダンスなどには無関心で、相変わらず「近頃は水が冷たいねぇ〜」とか「おいしいサンゴが少なくなった、、。」など、毎日同じ話ばかり、、。

僕は旅に出る決意をした。誰も知らないブダイのおじさんたちがビックリするような違う世界へ!

旅に出る朝、早起きをして海草やスポンジをたくさん食べて、海草のおにぎりも3つ作った。

当てのない旅への出発。自分探しの旅。いつもとは違う自分と今までの自分との新たなコミュニケーション。

やってみなければわからないことだってある。やらなくてもわかることもあるけど、ブダイのおじさんたちから聞いた話は時間が止まっているから、もう新鮮な情報ではない。

良いことも悪いことも経験だ。今の時間は、自分の生命の限られた時間帯での時間割なんだ。

一生懸命、泳いでいると、なんだか不安な自分に気付いた。「でも、なぜ不安なんだろう?」

一人になっちゃったからかな、、、?

改めて、一生懸命泳いでいる自分に気付いた。胸ビレで思いっきり水の抵抗を感じ、サワサワと心地よく背中に伝わる水の感触。自分が生きているのがわかる。存在がわかる。希望が湧く!

どんどん泳ぐに従って、自分が好きになってきた。今、生きている自分が、、。

カホラヴェ島に近づくと、スピナーズのイルカさんたちが応援に来てくれた。イルカさんたちは相手の心が読める術を持っているので、何も言わなくてもわかってくれる。だから、いつもスマイルなんだ。イルカさんたちは喧嘩をしない。無意味だからだ。喧嘩をするくらいなら何でもあげちゃう。自然の法則を知っているから、何があっても困ることはない。

カホラヴェ島の浅瀬でちょっと休憩、、。ヤドカリさんたちが僕の鼻の回りをクルクル回って忙しそうだ。セコセコセコセコ、ヤドカリさんは休む暇がない。

「お忙しそうですねぇ〜。」と僕が言うと「セコセコセコセコ」と忙しそうな返事。

ヤドカリさん見てるとこっちが疲れちゃう。ちょっと場所を移動して海底の砂地へ移動すると黒ナマコさんが、お昼寝をしていた。ゴロゴロゴロゴロ、眠たい眠たい。

黒ナマコさんが働いているところを見たことがない。いつもゴロゴロウニウニしている。

今までに話したこともないので思い切って質問をしてみた、、。

「退屈じゃないんですか?同じ場所にずっと住んで、毎日ゴロゴロして、、?」

「わしらも移動するよ。おなかに空気を入れて少し浮かぶと海流が勝手にわしらをどこかに連れていってくれるんじゃよ。そして、好きなところでおなかの空気を抜くと海底に沈んで、また、そこでゴロゴロやるんだ。」

「いろんな生き方があるんですねぇ〜。」

「そりゃそうだよ。生き方なんてものはない。好きに自分がやればいい。何もこわいものなどはない。考える必要もない。生きていれさえすれば、それで十分。何だって出来るんだ。」

なんだか自由になってきた。自信も付いてきた。心配する必要はないんだ。不安になることもない。どこに行っても自分さえいれば、それで大丈夫!

呼吸をしに水面に浮かび顔を上げると、ラナイ島の西に日が落ちてきた。

さて、明日は何をしようかな?なんだかワクワクしてきた!




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